不可能性の強いカードマジックを創作できるようになるための一冊
オリジナルのカードマジックを作りたい。
そう思っているマジック愛好家はたくさんいるのではないでしょうか。実際に作られている方もいらっしゃるでしょう。でも大半の方はただ作りたいわけではないと思います。観る人に衝撃を与えるマジックを考えたい、それもできればマジシャンも騙せるマジックを。そうではないでしょうか?
でもどうすればそんなマジックを考えることができるのか?
何から始めればいい?どう考えを進めたらいい?
『リフレクションズ』は、その考え方を紹介する本です。これは魅力溢れるオリジナルのカードマジックを考案したい方のための本なのです。それも「著者だからできる」方法ではなく、あなた自身があなた自身に合うカードマジックを創作できるようになるためのものです。その内容を少し紹介しましょう。例えば…
クロースアップにおける空間の使い方:椅子に座ったまま演技をするスタイルにヘルダーは疑問を呈します。与えられた空間を最大限に活かし、観客に最大限の体験を提供する考え方を紹介。
スリー・アクト構造:何段かから成るアクトを考える際の指標。盛り上がりと手順の構造を融合させるための考え方を提示します。
インバージョン・システム:マジックを考案する際にどの部分から考え初め、どのように全体に考えを広げていくのか。その一つの回答。
カード・フォールディングのアイデア:広く使われているマーキュリー・カード・フォールド。ここではそこに一工夫加え、観客により強烈な体験を提供するアイデアを紹介します。
弱点を補完する:マジックは“本物の魔法”ではない以上、必ずタネ=弱点があります。これは2つの手順を組み合わせることで互いの弱点を補完し、全体としてより強固な不思議を作り出す考え方です。
不完全な終了状態を活かす:演技自体が不思議でも、仕掛けの構造上、最後にどうしてもあらためができない場合があります。ここではその状態を活かして次の演技に繋げる考え方を紹介します。
条件から構成する:「ここは完全にフリーチョイスにする」「箱の中のカードを観客に出してもらう」などの条件をあらかじめ設定しておき、それを1つずつ解決しながら全体をくみ上げる考え方を紹介。
この他にも様々な理論を提案し、それらをもとにして実際に作られたマジックを解説します。マジックの解説も、考案のプロセスやどのように理論を応用したかに重点をおいたものになっています。魅力溢れるオリジナルのカードマジックを考案したい全ての方に贈る一冊です。
y.u –
解説されている作品は5つのみ。ですがそれらの作品を創り上げる過程やどのような考え方を用いて演じられているかが事細かに書かれています。
ここで書かれている考え方は汎用性が高いものが多く、マジックを創りたいと言う方には大変お勧めです。ちなみにブックカバーを外した時の本の雰囲気がとても良きです。
抱富満 –
「すごいなぁ。どうやってやるんだろう」と思うタイプの人よりも「すごいなぁ。この人どういう頭してるんだろう」と思うタイプの人にお勧めです。ヘルダー・ギマレスがその頭の中を少し披露してくれます。今まで何度も見てきたマジックや、自分が演じてきたマジックも、ヘルダーが教えてくれたフィルターを通して見ると、違った印象になるから不思議です。
和泉の –
オリジナルのマジックをつくる=仕掛けを考える ことだと思っていましたが、この本は仕掛けをマジックとして完成させるための方法が解説されており本当のマジック創作とは何かをわからせてくれる作品でした。素晴らしいです。
鴨短明 –
目次と最初のトリックに誤りがあり、失望。良質な内容に感動。校正を希望。
din –
トリックを増やすためのものではありません。創作をする人向けです。創作する上でこういうことを考えているのかとヘルダーの頭の中を垣間見ることができます。ヘルダーの演技を知っていて、かつ創作意欲のある方にはこれ以上ない作品だと思います